鍋田の家

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斎藤さんご家族とは土地探しからのお付き合いとなった。

ある日“気になる土地がある”と連絡をいただいた。松本市惣社にある新興分譲地の突き当たりに、旗竿の三角変形地が売れずに残っていた。

造成前の地名が大字鍋田で、もともとは鍋底みたく窪んだ一帯が桑畑だったらしい。土地が盛土された後も、その南側は1.5m程低く畑のまま使われている。一辺の敷地境界に沿って湯川が流れ、対岸は歩行者自転車専用道路だった。決して広くは無いが南に開けて穏やかな場所。この敷地の魅力が、これから始まる分譲地の建設ラッシュの後も受け継げる事を嗅ぎ分けて、私達は一目惚れに近い感覚で土地の購入を決めたのだった。

 

当初は平屋の住宅を希望されたが少しずつ新たなご要望も生まれ、私は平屋の限界を感じていた。建ぺい率という法律上の規制は問題なく解決しているが、敷地に対して窮屈な感じが拭えなかった。
思い切って提案したのは大屋根形式の2階建て。寝室を1階に設けて平屋の暮らしを体現した。急勾配(5寸)の屋根が軒高5.1mの桁に架かり小屋裏のような2階を考えた。この計画はとても気に入っていただけた。

 

素材の選定は実に潔く進められた。施主の人柄や暮らし方、好む食品や器の類をヒントに柔らかい自然のモノを提案したら、あっさり承諾いただいた。外壁は県産さわら板、室内は杉板と土色の珪藻土で仕上げた。家具作家に手掛けていただいたサクラ材のキッチンは、ワンポイントでありながら相まって、とても素敵(素的)な空間になった。

 

(余談だが、材料が自然であればある程、デザインは無用になる。だから私でも住宅の設計が出来る)

 

木部にはオイル塗装を施主自身にやっていただいた。とても大変な作業だったが、家を育むような感覚が芽生えると後々の暮らしが楽しいと思う。

これからは薪割りをして焚付けをして…暖を取るのも一手間だけど、無理に原始的に営む必要は無い。エアコンも上手く併用しつつ快適や快感、不便益などを感じて、また感想を聞かせてほしい。

 

下校中の小学生が、今はまだ真新しい鍋田の家を眺めながら帰って行く。低い佇まいがちょこんとお座りしているようで愛嬌があでしょ?と、私は親バカのように思っている。

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ファーストプレゼン

クライアントからのご要望は“平屋の暮らし”“インナーガレージ”“洗濯物を爽快に干す”でした。三角敷地の中で方角に対して角度を45度振ると、全て南に面した5つのお庭がうまれるプランをご提案しました。3間×3間の広々としたLDKを中心に個室や水廻りを分散しました。子育て世代のおうちとしては収納が少なく、その分廊下が長いので改善の余地がありました。また、分譲地の特性上、まもなく周囲は敷地いっぱいの住宅が建ち並びます。その中ではもっと小さなボリュームで敷地内に余白を残した暮らしが良いなぁという思いもあり、再度、別の提案をさせていただくことにしました。2019.05.01

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セカンドプレゼン

2回目の提案は廊下を無くし、建て坪を小さくしました。建物と庭のバランスが良くなり私の心のもやもやが解消されました。収納が少ないという問題は、子ども部屋の床を90センチ持ち上げて、その下のスペースを天井高さ140センチの収納スペースに当てる事で解決しています。天井高さ140センチというのは、面積条件と合わせて建築の解釈が2階建てにならない寸法です。インナーガレージを含めても30坪の小さな平屋。ちなみに4人家族です。クライアントにも喜んでいただき、これから実施設計にはいります。2019.06.01

 

後日、新たなご要望をいただきました。ひとつは薪ストーブを設置したい事、そしてもうひとつ、急な来客(宿泊)にも対応できる部屋を考えたいとの事でした。「良いですよ!」と返答したものの、長期で悩み続けてしまいました。薪ストーブの設置は壁との離隔距離を確保したりするので、それなりの広さが必要です。お庭にも薪置き場や薪割りスペースが必要です。さらにもう一部屋。。。これはプランニングし直した方が良いのではないかという結論を出しました。

設計期間中こそ、住まい手は暮らしに対するイメージがどんどん沸いてくるのです。だから基本設計中の変更は遠慮なく!容赦なく!徹底的にやりましょう!その代わり、実施設計が始まったら大きな変更は難しいのです。この段階で遠慮したら後悔が残りますし、遠慮し合うような関係ではいけませんね(^^)

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サードプレゼン

 

土地探しからご相談をいただき、この土地なら平屋の新築も大丈夫と判断した責任を感じつつ、実は平屋の限界を感じていました。悩みに悩み抜いた結果、当初のご要望を裏切る事にしました。どうかいい意味で裏切っていますように。

ご提案したのは2階建てです。寝室を1階に設けて平屋の暮らしを体現しています。薪ストーブ設置箇所ならではの高天井のリビングとしました。五寸勾配の屋根が小屋裏のような2階を形成して、6mの高さで2階建てが成立しています。この低いプロポーションが楽しみです。車庫に車は入りきらないけれど、フロントガラスは屋根に覆われ、雨に濡れることなく玄関を行き来できます。

プレゼン後、トイレ休憩に席を立って戻って来ると、ご夫婦からまさかの一発OK!驚きました。キッチンの配置を少しだけ検討して、いよいよ実施設計が始まります。2019.09.14

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実施設計を進めていますーキッチン打合せー

鍋田の家のキッチンを制作していただくのは、atelier m4(前田木藝工房)の前田大作さんです。施主の顔合わせも兼ねて5月にオープンした城東の新スタジオに伺いました。手掛けた家具に触れて、また、実際に長く使われている状態を確認できて胸が高鳴りました。実用性を無視せず、でも過剰に手を加える事なく“そのもののまま”が感じられる木の扱いが、建築(大工)のそれとはまた違いますね。最低限の要望で、おおよそ委ねてみたい職人さんです。とても楽しみにしています。宜しくお願いいたします。2019.11.02

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実施設計を進めていますー薪ストーブ選びー

薪ストーブのお話しを聞きにヤマショー安曇野ショールームへ伺いました。山口社長に火付けから調節まで実演していただきました。キッズスペースで遊んでいた子ども達がやってきて炎をじっと見つめる様子が印象的でした。鍋田の家にお似合いの薪ストーブはどれでしょうか?楽しく悩むことにしましょう。2019.11.23

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実施設計を進めていますー展開図プレゼンー

あけましておめでとうございます。いつもの場所で待ち合わせして、展開図のプレゼンをさせていただきました。設計事務所での家づくりですと大抵「展開図」を作図します。展開図と聞くと小学校の算数でサイコロを切り開いたイメージを抱く方も多いようです。そしてそれで合っています。建築の場合は必ずしも単純な6面体ではないので図面の見方が少しだけ難しく感じますが、順を追って説明していくうちに解るようになります。ただし僕は説明がめちゃ下手です。本当は展開図よりも僕の頭の中を開いて自由に見てほしいのです。2020.01.25

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実施設計を進めていますー照明プレゼンー

コンセントの位置や照明器具、照明計画、設備機器関係の説明をさせていただきました。

 

好きな建築家のひとりに吉村順三氏がいましてこんな言葉を遺しています。

 

「ぼくらが欲しいのは光であって照明器具ではない」「床が明るくなるっていうのがとても重要なことだと思う。(中略)天井はあまり明るくないほうがいいんじゃない?(中略)それでいて手元とか必要な所がちゃんと明るければそれでいいんだからね。(住宅作法より)」

 

そして僕の設計はというと、まず器具が多いです(特にコンセント)。そして天井を明るく照らします。不思議なもので、僕が一生懸命考えたプランはそうなってしまう。それが良いと思っています。この辺りの感覚は本当に難しく、施主の理想と上手く擦り合わせられるように精進したいものです。2020.02.29

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設計事務所は予算を守らないのか!?

実施設計が終了したので、施工管理をしてくれる滝澤工務店さんにお見積りの依頼をしました。鍋田の家は滝澤さん一本の特命見積もりです。1か月後に出てくるお見積りが、施主から聞いていたご予算に見合わなければ工事契約に進めません。しかしながら、初回のお見積りで予算以内に収まった事は、15年近い設計事務所経験の中で一度もありません。「設計事務所は高い」と言われる一番の理由だと思っています。こんな事を記事にすれば信用を失いかねませんが、とても大切な事なので正直に綴ろうと思います。

 

事前に2018年5月14日の記事を読んでいただきたいです。

 

家づくりの0歩目と称して、まずはご予算を決めていただきます。そのうえでご要望をお伺いし基本設計(家づくりの第一歩)を始めます。私なりの経験と直近の情勢から、ご予算に見合う計画を心掛けますが、この段階でご要望を諦めていただく事はありません。「おそらく減額調整項目ですが見積もってみましょう」と前向きです。この後の減額変更の苦悩は重々承知です。施工会社にも再見積もりをさせてしまい申し訳ないです。「だったら初めからそんな図面を描いてはいけない」と私も以前は思っていました。しかし、一見無駄に思えるこの工程が実はとても大切です。理由は2つあります。まずは施工者につくりたい建築を素直に伝える為です。つくり手の意見も踏まえて減額方法を一緒に考えれば実現するかもしれません。次に、提示された金額と照らし合わせ減額事項を取捨選択する事で、住まい手にとって本当に大切にしたい事を見極める為です。結果的に掛かる金額が同じでも、粘ってからの減額案の方が建築の質は高いはずです。

 

上の画像は鍋田の家の減額案事項の一部です。製品名や金額は伏せましたが小さな減額案の積み重ねと、中には苦渋の決断もあってご予算に擦り合わせていきます。表題の答えですが「初回のお見積りは予算オーバー、その後、三者が尽力して予算に合わせます」2020.04.07

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敷地に間取りを描いてみた

隣地との関係が気になったので、地縄より先に地上絵を描いてみました。ついでにガレージ部分に車庫入れも試してみました。普段はほとんど見ない自動車のバックモニターが役に立ちました。これならイケる!2020.05.18

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地盤調査

朝一で地盤調査に立ち会いました。スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)です。2020.05.21

 

翌日、調査結果の速報が届き落胆しました。考察判定で地盤改良が必要との事でした。分譲地周辺で地盤改良は見られなかったので、この土地もきっと大丈夫と信じていましたが、やってみないと分からないものです。

最終的にはやはり地盤改良工事をしたのですが、備忘録としてその後の取り組みを記します。

 

まず、SS試験よりも緻密な地盤判定ができる表面波探査試験の実施を検討しました。SS試験では確認できない地耐力も表面派探査試験だと確認がとれて地盤保証を受けられるというケースが少なくないのです。試験に掛かる費用はSS試験よりやや高価ですが、再試験で地盤改良を免れるのであればやってみる価値はあります。また、今後は初めから表面派探査試験を実施するという選択もありだと思いました。再試験の相談をしたのはビイック㈱です。とても親身な対応でした。土地の開発工事事業者に施工内容確認書をいただくようにアドバイスをもらいました。

 

土地の開発工事をしたアスピアエステートさんにお願いし施工内容確認書を発行していただきました。あまり気分の良いお願いではないにも関わらず、快く対応をしていただき、施工内容も十分な締固め方法でした。しかし、元々が畑だった事と盛り土が1メールの箇所がある事から、再試験をしても地盤改良は必要でしょうとの回答をいただきました。ビイック㈱は自社の利益にはならない事を丁寧に説明してくれているように思いました。

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地鎮祭

大安吉日。ついに地鎮祭までたどり着く事ができました。土地の神様に工事の安全を祈願しました。(あと、地盤改良費も出来るだけ安くお願いします。)

凛とした気持ちで、僕も気を引き締めて頑張ります。2020.05.30

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この期に及んで屋根勾配を変更する

こんな事は今までに一度も無かったのですが、この期に及んで屋根勾配を再検討しました。実は現場で完成をイメージしていたところ、分譲地でこのボリュームは圧迫感があるように思えたのです。しかし設計変更も独りよがりではいけません。既に工事契約を交わした後です、正しい手順を踏まなくては。滝澤社長に相談したら「後悔しないようにやっていいよ」と言ってくださいました。早速パースを描いて齋藤さんに提示しました。好みを押し付けたくはないので「どちらがいいですか?」とだけ尋ねてみたら、即答で右!と言っていただけました(右の絵が再検討したものです)。プレカット入力の森下さんは「ひぇ~」と言って笑ってくださいました。本当に僕は人に恵まれています。2020.06.08

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地盤改良工事

地盤改良工事初日。今回の改良は平均4mのソイルセメント柱状改良58本、500mmφです。1日でちょうど半分終わりました。残り半分は、めいちゃんがやってくれるみたいです^^ 2020.06.10

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耐圧盤下の床掘りが始まりました

いよいよ本格的な着工という感じです!2020.06.23

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基礎配筋工事

基礎の鉄筋を施工中です。蒸し暑い中ダウンジャケットで作業している鉄筋工さんがいますが、こちらは空調服。ファンでジャケット内に気流を起こして気化熱で涼を取る優れものです。それにしても暑い中、丁寧に組んでくれています。後日、配筋検査を行います。2020.06.27

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第三者機関の配筋検査

私の検査は既に終えた状態で、第三者機関の配筋検査でした。指摘も無く無事終了です。2020.06.30

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基礎コンクリートの打設

基礎の耐圧盤コンクリートを打設しました。コンクリートの打設は複数の業者が力を合わせて取り組む作業で、和気あいあいと活気のある現場が僕は結構好きです。一番左がポンプ屋さん、次の二名が基礎屋さん、その隣が左官屋さんで、ミキサー車の上の生コン屋さんです。ミキサー車4台分のコンクリート配合書をチェックして僕は別の現場へ。宜しくお願いいたします。2020.07.02

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アンカーボルトの確認

ベースコンクリートの打設を終えたら、立ち上がりコンクリートの型枠をつくり、この段階でアンカーボルトのチェックをします。基礎アンカーボルトは、コンクリート製の基礎と木製の土台を繋ぎとめる金物です。規定のピッチで、かつ引き抜きの力が掛かりやすい柱の傍に据え付けられる様に、立ち上がりコンクリートの打設前に据え付け位置や高さを1本ずつ確認します。2020.07.05

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構造材の検査

構造材の検査で征矢野建材へ伺いました。ヒノキ土台、スギの柱、ベイマツの柱、梁の検査や選定をしました。含水率が12~18%(ほぼ15%代)でまずまずの値です。20%以上だと交換をお願いします。全数検査をするわけではないですが、同じ時期に同じ山から採れた木々は、やはり近い値を出します。

鍋田の家はベイマツの化粧柱(壁で覆わない見える柱)が11本あります。柾目(木目)がギュッとつまった綺麗な柱を選別しました。独立する1本の柱は4面が見えるので、どの面をどちらに向けるのか決めてお願いしました。2020.07.13

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玄関廻りの土間を施工中です

基礎工事は耐圧盤の打設と立ち上がりの打設の2回で終わらせれば、手間も少なくコストダウンにつながると思うのですが、玄関などの土間部分にはコンクリート内部に断熱材を仕込む関係で3度目の手間を設けています。角谷さんは図面をほんとしっかり見てくださる職人さんで細かく描いた甲斐があります。2020.07.14

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建て方初日!祝!上棟

鍋田の家はプレカット後の手刻みが多めな設計だったので、奥原棟梁は少し大変だったと思いますが、無事に建て方初日を迎えることが出来ました。今回の建て方は棟梁以外、全員僕より年下の若き大工集団でびっくりしました。段取りが良いのか手際が良いのか、おそらく両方だと思いますが、あっという間に棟木が上がりました!今日は偶然にも瞭太さんがお休みで、その瞬間に立ち会っていただく事ができて嬉しかったです。おめでとうございます。ここからも気を引き締めて頑張ります。今日から3日間の建て方は、高温多湿の天気予報ですが職人の皆様よろしくお願いいたします!2020.07.29

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建て方二日目

建て方二日目。僕の設計は緩勾配の屋根が多いのですが、今回は5寸勾配の屋根です。登り梁の据え付けが想像以上に大変でしたが見事に掛かりました。連続性が綺麗です。

迫り来る入道雲に焦らされながら、屋根の化粧野地板まではやってしまいたいところ。

大人は入道雲を見たら“雷雨が来るなぁ”と思います。子どもは“おいしそうだなぁ”とか思います。同じ景色を見ていても、知識や経験が違えば見え方(感じ方)が違います。建築にも同じような事が言えます。たまに「設計事務所は見た目にこだわるね」なんて聞きますが、その「見た目」っていうのは、単に“四角い家がかっこいい”とか“黒の外壁がおしゃれ”とか僕の感性で決める部分は少ないです。自然の摂理や場所の特性がわかると、結果的にそういう見た目になったモノが「あぁ良いなぁ」と感じるようになります。だからデザインされた建物の中から選んでいただくよりも、打合せを重ねながら設計意図をお伝えして、お互いの理解を深めながら図面を描き進めています。説明下手ですけどね。2020.07.30

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建て方三日目

5寸勾配の屋根の上は僕には怖くて歩けませんが、20代大工達はひょいひょい作業を進めています。

上の写真は屋根の上に断熱材を敷いている様子。真ん中は断熱材の上に熱線反射型の防水シートを貼った後。下の写真は防水シートの上に通気層(空気を流す為の隙間)を施工しているところです。2020.07.31

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仮筋交いが入りました

斜めの部材が仮筋交いです。本物の筋交いや壁耐力面材が規定の金物で据え付けられるまではこの状態で建物の耐力を確保します。写真の中心が居間から見て玄関戸が取り付く場所です。2020.08.05

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上棟式

大安吉日、上棟式を執り行いました。新型コロナの影響で棟梁にとっても今年初めての式となりました。たくさんの方のご尽力でここまで無事にたどり着けました。心から感謝いたします。これからも気を引き締めて進めていきます。2020.08.07

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外壁の施主塗装

猛暑の中、施主に頑張っていただき外壁の着色保護塗装をしました。鍋田の家の外壁は全面に無垢の県産サワラを張ります。その数なんと420枚(4メートル材)!気の遠くなる作業ですが、一枚いちまい丁寧に塗ります。壁に張る前に塗装する事で張り重なってしまう部分にも塗装できますし、安全に作業ができます。これだけの材料を広げるスペースが必要になりますので、滝澤工務店さんに場所をお借りして終日作業でした。朝から日暮れまで作業して1/3が終了。あと2日はかかりそうです。2020.08.09

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金物検査

筋交いや壁の耐力面材を固定する金物を目視検査しました。建物のつくりに応じて、各柱等が負担する加重はそれぞれ異なりますので、場所により据え付けられる金物もそれぞれ違うのです。第三者機関の金物検査も行われますが、それとば別に僕も必ず検査する事にしています。2020.08.25

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サッシ取り付け

金額のことだけ言えば、普通の引き違いサッシが一番安いのですが、それを少し特殊な取り付け方でお願いしています。施工図も一開口部につき3枚描いて、それでも伝えられない部分を現場で説明します。そこまでやると大工さん側から「こうした方がいいんじゃない?」って提案してくれて、次回の図面に反映されます。細かい内容ですが、その繰り返しで完成度が高まります。2020.08.28

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外壁施主塗装2日目

炎天下の中、2日目の外壁施主塗装です。1棟まるごと板張りの住宅だと、やはり予定通り3日はかかりそうです。塗り作業も大変なのですが、材料の移動(持ち運び)がなかなかの肉体労働。やってみて分かる事がたくさんあります。

場所を貸してくださっている滝澤工務店さんが、日陰で作業できるように屋根付きの場所を用意してくださいました。ありがとうございます。2020.08.30

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JIOの防水検査

第三者機関であるJIOによる防水検査でした。「ぱっと見ただけでしっかり施工されているのが分かる!」と言われたのですぐに終わるかと思いましたが、長い間細かく見ていかれました。特に不備事項はありませんでした。2020.09.02

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塗装した板材の外壁張りがはじまりました

3日間かけて塗装した長野県産さわら板を、今度は大工が一枚ずつ丁寧に張っていきます。足場の上と下にひとりずつ、息を合わせて効率よくやっていただきますが、それでも先は長い。。。

ステンレスの釘を1本ずつ手打ちしていただきます。2本の釘を見比べて、今回は平頭でお願いしました。2020.09.09

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部屋と吹き抜けの関係性を悩む

実施設計中に散々悩んだ吹き抜けに面する子ども部屋の壁を、現場でもまた悩む。もっと要領よく決断できたら楽だなぁと思いますが、これはもう性分だと開き直って粘り強く現場にいます。施工図に描き起こす時にまた悩むのでしょう。居間から空が見られないだろうか。

家は3回建てないと満足できないと言いますが、3回悩まないと設計できないようで。2020.09.13

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金属加工工場で打合せ

鍋田の家は台所を区画せず、ワンルームの一角にキッチンがあります。その一角の壁に3㎡を超えるステンレスを貼ります。合わせてレンジフードもステンレスで制作する予定なのです。何人かが僕に忠告してくれました。「それ、飲食店の厨房になっちゃうよ?」

確かに特有の金属光沢が心配ですが、衛生機能面では申し分のない素材です。表面の加工方法や角の出し方、繊細な寸法で設計すれば、きっと素敵な水廻りになるはずです。そんなわけで、手間の掛かる設計に力を貸してくれたのは、物干しの制作もお願いしている㈱優屋さんです。物凄く簡単に言うと、金属の加工ならなんでも出来る会社です。設計中は少し不安でしたが、打合せ後はひとごとの様に楽しみにして待つ事にしました。2020.09.23

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杉の床板

杉の床板張りがはじまりました。通常、製品化されたフローリングは梱包や運搬の都合で1.8mや2m程度の長さで納品されますが、製材所から直接購入して運搬していただくことで4.5mの長物を入れています。継ぎ目のない伸びやかな床板は木目がより際立つと思います。(搬入や施工は大変です)2020.10.01

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家具作家さんとキッチンの打合せ

atelier m4(前田木藝工房)城東スタジオにて制作キッチンの打合せをしました。前田さんから思わぬご提案をいただいたので、施主も私も即決できず持ち帰らせていただきましたが、つくり手からの斜め上をゆく提案はいつでも大歓迎です。引出しにつく予定の真鍮ツマミもオリジナルの金物です。チェリーの幕板にお似合いです。

下の写真は前田さんからの宿題にこたえた、お施主さんからの提出物。許可も取らずに勝手に載せちゃいます!2020.10.04

 

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定例打合せ

現場ごとに週1日、定例の日を決めています。鍋田の家は毎週水曜日、9時から監督、職人、設計士で顔を突き合わせます。僕の場合は週イチどころか頻繁に現場へ行くので、定例時には打合せが無い事もありますが、それでも必ず集まる事にしています。今日は施工図をもとに開口枠の納まり確認です。2020.10.07

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天井の下地が組まれました

天井下地が組まれると、なんとなく部屋のボリュームが感じられます。良い感じ。写真はキッチンダイニングの天井で珪藻土左官で仕上げる予定です。ガスコンロのキッチンが設置されるので、建築基準法上の火器使用室となり、燃焼範囲は12.5mm厚の石膏ボード下地を張ります。そうする事で、今回はキッチン廻りに垂れ壁のないすっきり一体空間です。2020.10.21

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階段制作中

実を言うと本計画は、階段の位置が定まらずに下書きのまま諦めていた案に別のプランが重なって成立した経緯があります。直階段(まっすぐな階段)は2階の間取りに廊下が必要となる傾向があり、私はほとんど採用しません。また、リビングアクセス階段(居間に上り口のある階段)も居間の落ち着きを損なうので慎重になります。鍋田の家はリビングアクセスの直階段がうまくまとまった、ひと皮剥けた(僕が)取り組みでした。居間と階段を隔てる壁がおうちの拠り所として心地よい場所性をもたらすと思います。階段下をくぐった先にウォークインクローゼットと寝室のあるプライベートな部屋を配していて、この半孤立な感じも気に入っています。出来上がってしまえば何事もないようなしつらえですが、棟梁には見えない部分でかなり細かいお願いをしていて難儀させたと思います。設計中からとても思い入れのある階段です。2020.10.28

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下駄箱制作中

下駄箱をラワンランバーという材料で大工さんに造っていただきます。一言に家具といっても、既製品を買ってきて置くか、家具屋さんに造ってもらうか、大工さんに造ってもらうか・・・家具屋さんから材料を手配して大工さんに造ってもらうとか、いろいろな方法が考えられます。

家具単体の精度でいえば、家具屋さんの制作品は素晴らしいです(技術も素材も金物も価格も良い)。大工さんに造っていただく最大のメリットは、現場で造るので建築に合わせて納めてくれる点だと思います。少々無骨な大工家具が建築に合わせてピタっと納まっているというのが、日常的な家具として丁度良かったりします。2020.10.28

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室内木部の施主塗装

本日は内部木部の施主塗装です。外壁は夫、内壁は妻の役割分担で家づくりに携わっていただき嬉しいです。写真はラワン合板に浸透性のクリア(透明)塗装です。ラワンはクリアを塗っても茶色を塗っているかの様な色変わりです。部屋の印象が少し落ち着きとっても良い感じです!2020.10.29

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デッキを施工中

大工工事も残すところ外部の残工事のみとなりました。写真は濡れ縁のヒノキ床板を施工中の奥原棟梁。ゆいちゃんとめいちゃんは大好きな棟梁に会えなくなってしまうので少しさみしいですね。2020.11.04

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大工工事が完了しました!

大工工事が完了しました。奥行が異なる板壁と光の感じを目の当たりにして少しの間だけほっと一息つきました。一家勢ぞろいで棟梁へ挨拶に来てくれて、それもまた嬉しかったです。大工の皆さんありがとうございました。2020.11.11

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内部足場

大工から左官工にバトンタッチです。吹き抜けがあるので内部足場が組まれました。意味もなく上ってみました。2020.11.18

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建具も施主塗装

ドアや引戸関係のいわゆる“建具”が完成したとの連絡をいただいたので、加工場に出向いて塗装しています。家一軒、まるごと塗装を経験した瞭さん、手捌きが板についてます!2020.11.22

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仕上げ材関係を決定していきます

現場にて、仕上げ材関係を決定する段階に入りました。僕の設計は仕上げの要素が少なめかなと思いますので、選ぶこともそんなに多くはありません。今回は珪藻土と襖紙とタイルを選びました。意外に思われる方も多いのですが、色味選びに関しては僕はあまり意見せず、施主にお任せしています。僕だったら選ばないカラーもあったりして、それがとっても良いのです。ついでに言うと、テーブルやソファー等の可動家具も「なんでもいいですよ!」と思っています。是非楽しんで決めていただきたいです。

とてもこだわりが強い性分なので、人様のおうちにとことん首を突っ込んでしまいます。そこで、線引きが必要だったわけです。「住む人が幸せである事」が全てです。その時に果たせる責任は、構造(安心)、性能(快適性)、耐久性(素材選び)までかなと思います。子育て方針(個室のあり方)や色彩感覚、インテリアは暮らし手の個性で溢れてほしいです。

 

縹色(はなだいろ)の襖が入るのがとても楽しみです。2020.11.29

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FIXガラスの据え付け

FIX(嵌め込み)窓のガラスが入れば、これで外部の建築工事は全て完了です。登り梁の勾配に合わせて加工した三角形のLow-E複層ガラスを搬入中。2020.11.30

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左官工事が始まりました

和室や2階や日陰や直射日光を当てたりもして、施主と珪藻土の色味を最終確認しました。初めてやってみる茶系の珪藻土。とても楽しみです。石膏ボードの継ぎ目を平滑にするパテ施工が始まっています。クラック防止のメッシュを塞せ込んでいます。宜しくお願いいたします。2020.12.01

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珪藻土の左官押さえが始まりました

いよいよ仕上げ左官です。2階の一番小さな面をキャンバスに試し塗りしていただきました。上の写真が梨地(なしじ)仕上げ。下の写真が塗り放し仕上げです。どちらも良い!・・・悩み抜いて最終決定しました。2020.12.04

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玄関土間の仕上げを検討中

玄関とポーチの床はモルタル玉砂利の洗い出し仕上げです。モルタルの色や石の種類、密度等、パターンは無限です。今回は地を多め石を少なめ。最後は職人さんの手仕事にお任せです。2020.12.06

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制作キッチンの設置

ステンレスの壁が出来上がり、チェリー木工部の据え付けが終わりました。設備機器関係の接続をすれば制作キッチンの完成です。制作キッチンは複数の職人さんのコラボ作品だと思います。atelier m4さん、優屋さん、坂本電気さん、中信水道さん、ヤマショーさん、サンリンさん、誰が欠けても完成しません。感謝感謝の連続です。2020.12.08

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建具の建て込み

建具が入るとおうちの完成度がぐっとあがります。写真の障子は引き違いではなく、両側の壁に引き込んで全開口できるつくりになっています。隣地が低く、南に開けている鍋田の家は日当たりが良く、冬の日中は開放した方が暖かいです(日射取得)。日暮れ後は閉じで熱を逃がさぬように、その時々を楽しく工夫して過ごしていただきたいなと思います。2020.12.09

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土間の洗い出しと照明検査

玄関では左官屋さんによる土間の洗い出しが始まっています。時間が掛かりますが根気よくとても丁寧な作業です。

夜は照明の施主検査を行いました。最近はいつも突然のお呼び立てで申し訳ございません。とても喜んでいただけたので一安心です。「見学会やるなら夜もいいじゃないですか!」と言っていただけてありがたいのでした。子ども達はガラスに映る姿でポーズ!!もうすぐ完成です。2020.12.10

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薪ストーブ設置

【morso(モルソー)3440CB】

鋳鉄製のクラシックなフォルムです。ガラス面に装飾がなくてスッキリしています。2020.12.11

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火入れ式

薪ストーブに炎が灯り、冷え切った室内が緩みました。なぜか無言になっちゃいますね。

ヤマショー山口社長からは取り扱い説明をしていただきました。2020.12.12

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祝!お引き渡し!!

ファーストプレゼンから1年7か月、本日無事お引き渡しとなりました。家づくりを通じて暮らし方を再考される施主の姿勢に、僕の方が目からウロコの学び多い設計監理期間でした。それにどこまで応えることが出来たのか、今後は僕の答え合わせになります。外構工事も携わらせていただく予定です。どうか末永いお付き合いをお願いしたいと思います。

滝澤工務店をはじめとする各職人の皆さまにも大変お世話になりました。多くの方々の力をお借りして、素敵な住宅が完成した事を心から嬉しく思います。ありがとうございました。2020.12.19

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